自動車保険には、「ノンフリート等級」という割引制度があります。保険契約期間中に事故などがなく保険金請求をしなかった方は、翌年の『等級』が1つ上がることで割引率がよくなる制度です。
実はこの「ノンフリート等級」は家族間で引き継げることが多いのです。
自動車保険は自身の『等級』や『年齢』などによって元々の保険料が違います。そこで、新たに車を運転されるお子さんが『等級』の高い両親から『等級』を引き継ぐことができれば保険料を抑えられますよね。
今回はノンフリート等級の引き継ぎについてお話をすすめていきます。
もくじ
『等級』を引き継げる条件
『等級』を引き継ぐには以下の2つの条件がそろう必要があります。
- 同居の家族であること。
- 等級を譲る方の保険満期日から7日以内であること。
1-1 同居の親族 とは
まず絶対条件として「同居」が挙げられます。お子さんが家を出て一人暮らしをしているケースでは同居と認められません。また、同一建物内でもマンションのように内部が完全に仕切られていて行き来できない別の部屋の場合も認められません。
正確には「配偶者と6親等内の血族および3親等内の姻族」とされています。
つまり、直系なら『ひ孫・やしゃご・その下の下』まで、傍系なら『いとこ・はとこ・いとこの子供や孫』まで含まれます。姻族なら『配偶者の兄弟の子』すなわち甥っ子や姪っ子までもが含まれるのです。ややこしいので図で示します。
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:親族より引用
1-2 保険満期日から7日以内
『等級』を譲る側(今回の話なら両親のほう)が保険期間内であれば問題ないのですが、保険期間が終了間近または終了していると注意が必要になります。
年齢から、車の運転をやめようと考えられているご両親が、保険の更新時期に合わせて『等級』を譲られるのでれば、ぜひ7日以内と覚えておきましょう。
『等級』を譲れないこともある
上記の2つの条件が揃っていても、『等級』を譲れない場合があります。
細かく見ていきましょう。
2-1 共済の自動車保険に注意
お父さんの自動車保険が、民間の損保会社であれば問題はありません。しかし共済の自動車保険の場合、通販型の自動車保険には引き継げないことがあるのです。
アクサダイレクトを例に見て見ましょう。
【ノンフリート等級および事故有係数適用期間を引き継ぐことができる共済】
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- 農協共済(JA共済)
- 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)
- 全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)
- -全労済(全国労働者共済生活協同組合)
- -ポストライフ(日本郵政グループ労働者共済生活協同組合)
- -電通共済生協(電気通信産業労働者共済生活協同組合)
- -全国交運共済生協(全国交通運輸産業労働者共済生活協同組合)
- -森林労連共済(全国森林関連産業労働者共済生活協同組合)
- -全たばこ生協(全日本たばこ産業労働者共済生活協同組合)
- -全水道共済(全日本水道労働者共済生活協同組合)
- 教職員共済(教職員共済生活協同組合)
- 日火連(全日本火災共済協同組合連合会)
※現在のご契約が、上記共済以外の場合は等級を引き継ぐことができないため、新規6等級でのご案内となります。
※現在のご契約が、教職員共済の場合は、インターネットでのお見積りをご利用いただけません。お見積りはお電話にて承ります。
AXAホームページ:よくある質問から抜粋
2-2 友人から譲り受けた車両には引き継げない
お子さんが新車や中古車を新たに購入した場合には、問題なく『等級』を引き継げるのですが、知人から譲り受けた(もらった)場合は、引き継ぎを断られる事例が多いようです。
ただし、お子さんが以前から所有していた車両を処分した上で譲り受ける時は引き継げるようです。
2-3 同等の車両でないと引き継げない
例えばバイク用の保険の『等級』を自動車用の保険に引き継ぐことはできません。
バイク同士でも、排気量が大きく違う時も注意が必要です。
2-4 ご自身が所有する2台目の車両へは引き継げない
セカンドカーを購入することになったときに、所有者が同じでも『等級』は引き継げません。原則6等級からスタートです。(条件を満たせば7等級からスタートできる場合もあります。)
2-5 結婚や離婚で別居していると引き継げない
引き継げる条件に『同居』があるため、家族であっても別居していれば引き継ぐことはできません。ちなみに等級引き継ぎの手続きが完了した後に、結婚して別居する場合は問題ありません。
実際の引き継ぎの流れ
通常は、保険会社に相談すれば手順を詳しく教えてくれます。
具体的な流れを簡単に見ておきましょう。
- 両親の加入する保険会社に車両入れ替えの申請を行う。(両親の車 → 子供の車)
- 車両入れ替えが完了すれば、保険の名義を子供に変更する。
- 両親の車は、親の名義で保険に新規加入する。
まとめ
『等級』の引き継ぎについていかがでしたでしょうか。
6等級からスタートし20等級まで上がるのに、10年以上の時間が必要です。高齢で免許を返納する家族がいる場合、または駐車場が確保できずに車を手放すことになった時など、ぜひ『等級』を同居の親族へ引き継げることを思い出してください。
また、今現在は同居の家族に相当する人がいない場合でも、「中断証明書」の制度を使うと10年間は等級を維持できますので頭の片隅にでも残しておいてください。「中断証明書」についてはまた別の機会にお話しします。