通販型自動車保険に切り替えを検討されている方にとって、保険の制度やその説明に使われる言葉は、とても難しく感じることでしょう。
今回はそんな保険制度の中でも「ノンフリート等級制度」について詳しく解説していきたいと思います。
もくじ
等級制度とは割引制度のこと
「ノンフリート11等級」などという単語を、保険の更新時に聞くことがありませんか?これは契約者の事故歴に応じた保険料の割引制度のことです。
1-1 ノンフリートとは
自動車保険の契約には「フリート契約」と「ノンフリート契約」があります。
フリート契約とは、1年以上の契約期間がある自動車保険を10台以上契約している方のために、契約者単位で適用する保険のことです。
そのため、個人の方は、ほとんどがノンフリート契約になるのです。
フリート契約 | ノンフリート契約 | |
割引率の適用単位 | 契約者単位 | 車両一台単位 |
割引率の決定方法 | 総契約台数と保険料・前年のフリート割引率で決まります。 | 前契約の契約期間とノンフリート等級・事故件数・事故内容で決まります。 |
1-2 等級とは
では、「ノンフリート11等級」の『11等級』とは何なのでしょうか。
自動車保険の保険料は、契約期間や事故件数などの条件によって変動するようになっています。事故で保険金を請求した人と、そうでない人が公平に保険料を負担するための仕組みです。
そのために、保険を使わなかった人(事故が無かった人)は毎年保険料の割引率が上がり保険料が下がるのです。これが『等級』の意味で、ノンフリート等級と呼ばれものです。
1-3 割引率とは
損保各社は割引の等級を『1等級』から『20等級』までの20段階に分類しています。
各段階の割引率を一覧でみていきましょう。
等級 | 無事故 | 事故あり |
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
19等級 | 57%割引 | 42%割引 |
18等級 | 55%割引 | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
15等級 | 51%割引 | 33%割引 |
14等級 | 50%割引 | 31%割引 |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
11等級 | 46%割引 | 25%割引 |
10等級 | 44%割引 | 23%割引 |
9等級 | 42%割引 | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
7等級 | 29%割引 | 20%割引 |
6等級 | 19%割引 | |
5等級 | 13%割引 | |
4等級 | 2%割引 | |
3等級 | 12%増し | |
2等級 | 28%増し | |
1等級 | 64%増し |
これはある通販型自動車保険を扱う保険会社の割引率一覧です。
割引率は、保険会社や年によって若干の変動がありますが、等級が上がれば「割引率が高くなる」ことに違いはありません。すなわち20等級の人が一番保険料が安くなるというわけです。
事故で保険金を請求すると等級が下がる
『等級』が割引率を表している事がわかりました。ではその『等級』はどのようにして決まるのでしょうか。
2-1 最初は6等級から
初めて自動車保険に加入すると、基本的には『6等級』が割り当てられます。(条件次第で若干変動します。)
2-2 契約更新のたびに見直される
保険に加入してから1年が経過すると、保険の更新時期を迎えます。(現在、通販型自動車保険で複数年契約を扱っているところはありません。)その時にノンフリート等級を確認すると1つ上がってることに気づくと思います。
ただし1等級上がるのは、事故などで保険金を請求しなかった人だけです。
2-3 事故で保険を使ったら
事故で保険金を請求すると、翌年の『等級』が下がるのですが、事故の内容によって下がる『等級』の数に違いがあります。
原則として、事故などにより保険金の請求を行うと翌年は『3等級』下がります。
6等級だった人は、3等級になるわけです。
ただし、事故に対する自分の責任が少ない場合、具体的には
- 災害による車両の損害に対するもの
- 盗難
- 飛来物によるもの
- いたずら
- その他偶然な事故
などによる車両保険の請求については『1等級』下がるとしている保険会社が多いようです。6等級の人は翌年5等級になるわけですね。
2-4 ノーカウント事故
保険金を請求しても、翌年の等級に影響しないものがあります。
- 人身傷害や搭乗者損害保険のみの請求の場合
- 弁護士費用特約のみの請求の場合
- ファミリーバイク特約のみの請求の場合
これらの場合は翌年の等級に影響しません。相手が無保険者でかつ自分に過失がない場合や、自分に過失がなくかつ自分の車の修理費用を相手が賠償してくれない場合などに該当します。6等級の人は翌年7等級になります。
事故あり係数とは
事故で保険金を請求すると、単に翌年の『等級』が下がるだけではありません。
事故で保険金を請求した年の『等級』が6等級以下の方には関係ないのですが、『等級』が高い人は、等級とは別に割引率が下がる制度があるのです。
もう一度先ほどの割引率の一覧表をみてみましょう。
等級 | 無事故 | 事故あり |
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
19等級 | 57%割引 | 42%割引 |
18等級 | 55%割引 | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
15等級 | 51%割引 | 33%割引 |
14等級 | 50%割引 | 31%割引 |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
11等級 | 46%割引 | 25%割引 |
10等級 | 44%割引 | 23%割引 |
9等級 | 42%割引 | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
7等級 | 29%割引 | 20%割引 |
6等級 | 19%割引 | |
5等級 | 13%割引 | |
4等級 | 2%割引 | |
3等級 | 12%増し | |
2等級 | 28%増し | |
1等級 | 64%増し |
右側に「事故あり」の欄がありますよね。これです。
事故で保険金を請求した翌年は、3等級下がることは先ほどお話ししました。実はそれらの方は事故の翌年から3年間「事故あり係数適用期間」が設定されます。すなわち、『等級』が下がった上に、事故なしの同じ『等級』の人よりも低い割引率が適用されるのです。その低い割引率というのが「事故あり」の割引率です。
ちなみに事故あり係数は 累計 されます。最大期間は6年となっています。
図で説明しましょう。
事故あり係数のイメージ
4-1 無事故の時
無事故なら、毎年『等級』が上がります。

4-2 事故で保険金を請求した時
事故で保険金を請求した翌年には『等級』が下がります。3年間は「事故あり」の割引率が適用されます。


4-3 複数回の事故をした時
事故あり係数は、その年数を累計されて数えられます。すなわち2回事故で保険金を請求すると、『等級』に関わらず 3年+3年で合計6年間は「事故あり」の割引率が適用されます。


まとめ
自動車保険の等級制度は、事故を起こさない(保険金を請求しない)人には、毎年保険料が下がっていくので優しい制度だと言えます。しかし一旦事故で保険金を請求すると、その後の保険金の割引率が大幅に下がるために注意が必要です。
また、『等級』が下がったからと他の保険会社に切り替えても、各社で情報を共有しているために『等級』が6等級に戻ることはありません。もちろん事故あり係数適用期間も引き継がれます。