自動車保険を調べている時に必ずでてくる言葉として「3等級ダウン事故」がありますよね。
保険を使った人と、使わなかった人で公平に保険料を負担するための制度として「ノンフリート割引制度」があります。「事故で保険を使った翌年には3等級下がる」と言う事はみなさんよくご存知かと思います。
「保険を使うと翌年の保険料が上がるから、自動車保険はできるだけ使わない方がいいよ。」とよく聞きます。しかし、本来保険を請求できる事象で無駄に我慢をされていることがあるのです。
今回は、自動車保険の制度において知らないと損をする事もある「ノーカウント事故」について詳しく説明していきましょう。
もくじ
「ノーカウント事故」とは
まずは確認。ノンフリート割引制度についてはご存知ですか?不安のある方はまずこちらをご覧ください。
1-1 保険を使っても、翌年に影響しない
「ノーカウント事故」とは、事故などで保険金を請求しても翌年の保険料に影響しない事故のことを指します。
このノーカウント事故で保険金を請求しても、翌年の保険料には影響しないというルールがあるのです。
1-2 具体的にはどんな事故がノーカウント事故か
イーデザイン損保でノーカウント事故とは、以下のような事故を指します。
- 搭乗者傷害保険にかかわる事故
- 人身傷害補償保険にかかわる事故
- 無保険車事故傷害保険にかかわる事故
- 弁護士費用等補償保険にかかわる事故
- 車両保険無過失事故の場合の特則にかかわる事故(車両新価保険特約が適用される時を除く)
- ファミリーバイク特約にかかわる事故
- 入院時諸費用特約にかかわる事故
- 育英費用特約にかかわる事故
- 女性のお顔手術費用特約にかかわる事故
- 被害者救済費用等補償特約にかかわる事故
- 対人臨時費用保険のみにかかわる事故
大きく分類すると以下の3点になります。
①人身傷害とその特約のみを使う時
②弁護士費用特約のみを使う時
③ファミリーバイク特約のみを使う時
1-3 具体的な事例
「人身障害」や「無保険車事故障害」だけを使う事象
人身障害保険とは、自分の治療費のうち過失割合のため相手が賠償してくれない部分を補償するものでした。
完全な貰い事故において、示談交渉がまとまらずに相手からの賠償が遅れるケースで、自分の治療費に対して人身障害や搭乗者障害が適用できるケースがあります。
同じように、貰い事故で相手が無保険だったために補償を受けられない時に役立つ「無保険車事故傷害保険」を利用する時も、ノーカウント事故扱いです。
このように自分に過失がない時でも、自分の自動車保険から補償を受けられる仕組みがあるのですが、実はあまり知られていません。
その事をご存知ない場合や、翌年のノンフリート等級を気にして保険金を請求しない場合が意外と多いそうです。
もちろん、「歩行中の車との交通事故」で相手からの賠償が遅れたり受け取れないような時でも人身傷害は利用できます。(搭乗中のみの契約を除く)そんな時もノーカウント事故扱いですね。
「弁護士費用等補償保険」だけを使う場合
そうなのです。信号待ちで後ろから追突されてケガをしたような事例では、イーデザイン損保が示談交渉を行うことができません。そんな時のための「弁護士特約」なのですが、これもノーカウント事故として扱われます。
『弁護士特約だけを使う場合は、翌年の保険料に影響しない』とぜひ覚えておいてください。
「ファミリーバイク特約」のみを使う場合
弁護士特約と同じで、ファミリーバイク特約のみを使う場合も、ノーカウント事故として扱われます。これはバイクでの事故が自分の責任であってもノーカウント事故です。
ファミリーバイク特約の補償範囲のことを詳しくご存知でなかったり、そもそも特約を付けたことを失念していたりすることが理由のようです。翌年の保険料にも影響しない特約なのに、そのことを知らないために使わないなんて勿体無いですよね。
「車両無過失事故の特則」が当てはまる時
車両保険を使う場合でも、イーデザイン損保の場合「車両無過失事故の特則」が適用される場合はノーカウント事故として扱います。
自分に過失がない場合は救済されるべきなのに、車両保険を使うと3等級下がるのはちょっとひどいですよね。イーデザイン損保なら通販型では珍しいのですが、「車両無過失事故の特則」が全ての契約に自動で付帯しています。その場合はノーカウント事故として扱われるので安心ですね。
「1等級ダウン事故」とは
通常保険を使った翌年は3等級ダウンするのですが、実は「1等級ダウン事故」というものが存在します。
完全に無過失とは言えないが、被害者的な要素が強い場合の事故を指します。
具体的には
「火災・爆発・窓ガラス破損・盗難・騒じょうや労働争議に伴う暴力行為または破壊行為・台風・竜巻・洪水・高潮・落書き・いたずら・飛来物との衝突・その他偶発的な事故」
が当てはまるとされています。
最近では、大粒のヒョウによるボディーの凹みなども、これに該当すると言われています。
3等級ダウンすると、保険料にどの程度影響するのか?
契約者の年齢やライフスタイルによって保険料は大きくかわるため、あくまでも目安として見るようにして下さい。
20等級で年間保険料が5万円の人が3等級ダウンするとどうなるのでしょうか。
まず、ノンフリート割引の一覧を見てみましょう。
等級 | 無事故 | 事故あり |
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
19等級 | 57%割引 | 42%割引 |
18等級 | 55%割引 | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
63%割引で保険料が50,000円なので、元の保険料は約135,000円となります。
翌年は3等級さがって17等級の事故ありが適用されます。(イーデザイン損保の場合は無事故割りも適用されなくなりますが、ややこしいので割愛します。)
割引率は 63% → 38% へ大幅ダウンです。そこから3年かかって元へ戻るのですね。
一覧表にしてみましょう。
事故がない時 | 1回事故を経験すると | |||
割引率 | 年間保険料 | 割引率 | 年間保険料 | |
1年目 | 63% | 50,000円 | 38% | 83,000円 |
2年目 | 63% | 50,000円 | 40% | 81,000円 |
3年目 | 63% | 50,000円 | 42% | 78,000円 |
4年目 | 63% | 50,000円 | 63% | 50,000円 |
累計 | 200,000円 | 292,000円 |
結局3年間で 92,000円もの負担増となりました。車両保険には免責金額もあるので、実際には15〜20万円を超える賠償や修理費用が必要な時でないと、保険を使うと損をする計算になりました。
10等級で計算してみましょう。
等級 | 無事故 | 事故あり |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
11等級 | 46%割引 | 25%割引 |
10等級 | 44%割引 | 23%割引 |
9等級 | 42%割引 | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
7等級 | 29%割引 | 20%割引 |
20等級の人と同じ保険だとすると、135,000円の44%割引なので現在の保険料は、75,000円程度とします。
そこから一覧表にしてみましょう。
事故がない場合 | 1回事故を経験すると | |||
割引率 | 年間保険料 | 割引率 | 年間保険料 | |
1年目 | 44% | 75,000円 | 20% | 108,000円 |
2年目 | 46% | 73,000円 | 21% | 106,000円 |
3年目 | 48% | 71,000円 | 22% | 105,000円 |
4年目 | 49% | 69,000円 | 44% | 75,000円 |
累計 | 288,000円 | 394,000円 |
3年間でおよそ10万円の負担増となりました。20等級のシュミレーションと大きな差がない結果はちょっと意外でした。
やはり免責金額まで考慮すると、15〜20万円程度の負担がない時に保険を使うのは得策ではないようですね。
まとめ
自動車保険におけるノーカウント事故についてまとめてきましたがいかがでしたか。
損害保険は、保険請求をすることで、保険金が支払われます。すなわち事故があっても保険請求しないという方法もあるということです。上記のシュミレーションで見ても、10万円程度の負担なら自腹で払った方が長期的に見れば安くつくということもあるために、保険金を請求しないパターンもありだということです。
ましてや、今回わかったように「弁護士特約」や「ファミリーバイク特約」は保険金の請求があっても、翌年の保険料に影響しないノーカウント事故として扱われます。
これらを知った上で、上手に保険を利用した方が良さそうですね。