激安アジアンタイヤの実態 安いタイヤは問題なく使えるのか

 

皆さんは、アジアンタイヤというものをご存知でしょうか。以前はネット通販で購入できる格安タイヤのことを指していましたが、最近では大手自動車用品量販店(オードバックスなど)でも販売されるようになっています。

自動車のタイヤといえば、国産ならブリジストンやヨコハマ、輸入品ならミシュランやダンロップなどのメーカーが有名。新車で車を購入した時には、これら有名メーカーのタイヤが取り付けられている事が多いのでご存知の方も多いと思います。

それに対してアジアンタイヤといえば、ナンカン(台湾)、ハンコック(韓国)、ネクセン(韓国)、クムホ(韓国)、ジーテックス(ドバイ)、レーダー(シンガポール)、ハイフライ(中国)などのメーカーが有名かな。ただし、数年程度で消滅したり新しいメーカーが出てきたりと変動が激しいために、初めて聞くメーカーも少なくありません。(上記に上げたアジアンタイヤメーカーは、比較的しっかりとした製品を製造しており、人気もあります。)

普通自動車のタイヤを1台分(4本)交換すると、国産高級タイヤの場合は15,000円/本程度と考えても工賃込みで7万円ほどの費用がかかるのですが、最も安いアジアンタイヤを通販で購入すれば、4本で2万円程度の予算で交換できてしまいます。

ぶち猫さん

ぶち猫さん
そんなに違いがあるの?
きんぎょ君

きんぎょ君
タイヤは想像よりも大きくて重いものです。4本分のタイヤは普通乗用車(セダンなど)に積載することも困難なくらいかさばるモノです。そのため送料や取付工賃は決して安くはないのですが、それらを払ってでもアジアンタイヤを通販で購入することで、国産タイヤの半額以下の予算で新品に交換できるのです。性能や耐久性はやや低いことが多いのですが、上手に選択すれば十分元が取れると好評です。

 

このように、じわじわと人気が上がってきた「アジアンタイヤ」について、筆者が実際に購入し使用していた時の感想及びトラブルも含め、詳しく解説していきたいと思います。

 

アジアンタイヤとは

アジアンタイヤとは、そもそも明確なカテゴリーが存在するわけではないのですが、日本以外のアジア各国に拠点を置くタイヤメーカーが製造販売する激安タイヤの総称です。

きんぎょ君

きんぎょ君
つまり、性能はそこそこだが価格は激安、というのが特徴なのです。

タイヤを製造するのは、日本の有名メーカー品でもアジアンタイヤでも、どちらも東南アジア各国の工場です。しかし、タイヤの製造には多くの最新技術が必要であるため、アジアンタイヤのメーカーは大手有名タイヤメーカーの型遅れ技術を買い取ることで、技術不足を補い安く製造しています。

ぶち猫さん

ぶち猫さん
つまり、安いタイヤは古い技術のタイヤということね。

もちろん安全性については、激安と言えども問題があるわけではありません。一般的な利用方法であれば、ドライバーが意識しない限りその違いを感じることは難しいでしょう。

きんぎょ君

きんぎょ君
一般市街地走行において、必要十分な性能は満たしているのですが、燃費性能や静寂性を比較すると、やはり国産有名メーカーの最新型タイヤには遠く及びません。およそ10年程度前の技術で作られているわけですから当たり前ですよね。

 

たとえば、高速道路で長距離移動をした時には、明らかにドライバーの疲れが出やすいとか、1年間の平均燃費が大きく低下したなど、安全性以外の性能については、やはり大きく差が付くことが一般的なようです。

 

価格相場

アジアンタイヤは「価格が激安」と紹介してきましたが、一体どれほど安いのか見てみることにしましょう。

日本で一番売れている車「プリウス」を例に価格を比較してみます。

上記は、有名国産メーカーの新品タイヤ1本の販売価格です。概ね10,000円/本程度から、発売時期が6年以上前のやや古い製品の場合には6,000円/本程度の価格であることが読み取れますね。

こちらが、アジアン激安タイヤの販売価格です。相場としては5,000円/本以下、最安のものなら2,500円/本という価格です。これなら4本セットの価格でも10,000円ですから、国産有名メーカーのタイヤ1本分よりも安いということになります。確かに激安と呼ばれるだけありますね。

 

タイヤ本体以外に必要となる経費とその目安

激安アジアンタイヤを購入する手段は、多くの場合に「通販」を利用することになります。最近では大手量販店で販売されていることも増えてきましたが、通販と比較するとその価格はそれほど激安とは言えないのが現状です。

きんぎょ君

きんぎょ君
アジアンタイヤの通販価格が、国産の1/2~1/4程度であることに対して、同じアジアンタイヤが量販店で販売される時には国産の3/4程度の価格設定となっていることが多いようです。当然品揃えもそれほど多くないので魅力半減という感じをうけますね。
ぶち猫さん

ぶち猫さん
でもタイヤを通販で購入すると、取り付けなどはどうすればよいの?

これが面倒なのですよね。タイヤは購入するだけでは使用できません。車への取り付けには専用の工具や技術が必要になるのです。そのため、ガソリンスタンドや車の修理工場に知り合いがいる場合にはそこにお願いして取り付けてもらう必要があります。

ぶち猫さん

ぶち猫さん
そんな知り合いはいないわ。
きんぎょ君

きんぎょ君
最近では、通販で購入したタイヤを持ち込みで取り付けてくれる修理工場が増えています。またタイヤの販売元と提携し、通販の販売会社が取り付け工場を斡旋するサービスも増えています。一部の提携工場では、販売元からのタイヤ直送サービスも受け付けているため、重いタイヤを自分で運ぶ必要が無いと好評です。

 

では、タイヤ取り付けまでに必要な経費をまとめてみましょう。

  • タイヤ本体価格  タイヤの販売価格です。2,000~6,000円/本程度
  • 送料       タイヤの配送料。離島や沖縄県は高くなります。1,000円/本程度
  • タイヤ取付工賃  4本セットで概ね10,000円程度 セット内容は以下の3点
    • タイヤ脱着
    • タイヤ組み換え
    • バランス
  • エアバルブ交換  300円/本程度 必ずしも交換の必要はない
  • 廃タイヤ処理   500円/本程度 取付工賃に含まれる場合もある
  • 消費税      全体の料金に消費税がかかります

取付工賃は、タイヤのサイズや車の形状によって差があります。16インチを超えるタイヤやRV車や輸入車の場合には工賃が高くなる傾向にあるようです。

ぶち猫さん

ぶち猫さん
つまりタイヤ本体価格以外に、送料に5,000円程度、取り付けに10,000円程度が必要ということね。

 

ということは、アジアンタイヤの平均的な価格を4本で15,000円程度と考えると、諸経費込でおよそ30,000円程度の費用で新品のタイヤを購入できるという事になります。国産有名タイヤメーカーのタイヤと比較すると半額程度もしくはそれ以下で交換できるということになります。

きんぎょ君

きんぎょ君
ちなみに、取付工賃は修理工場によってかなり差があります。タイヤを運ぶ手段や体力に余裕がある方は、「タイヤ持ち込み交換」でスマホ検索されると多くの修理工場を見つけることができるでしょう。私はおよそ8,000円/4本程度(廃タイヤ処分費用含む)の工賃で済ませています。

 

タイヤを運ぶ手段や体力がありますか

通販でタイヤを購入すると、取り付け工場に直送する場合以外は自宅に商品が届くことになります。普段タイヤは車に付いているので多くの方は、その大きさや重さをイメージしにくいと思いますが、それは想像以上に大きなモノなのです。

一般的な乗用車でも、1本のタイヤ幅は20cm以上あります。つまり4本重ねて積み上げれば、その高さは1m近くにもなるのです。また、重量はゴムの部分だけでも5~6kg、ホイルに組み付けた状態なら10kg以上/本にもなるのです。これを運ぶことができますか?

ぶち猫さん

ぶち猫さん
普通の乗用車だと4本まとめて運べないかもしれないわね。
きんぎょ君

きんぎょ君
女性の力では、タイヤを転がして移動ができたとしても、車に積み込むために持ち上げることは困難な場合があります。できるだけ取り付け工場への直送サービスを利用するほうが無難かもしれません。

 

保証について

通販での購入には、配送中に起こる破損などのリスクが必ず付きまといます。またタイヤの適合など、多少の専門知識も必要になります。

きんぎょ君

きんぎょ君
もしも商品の選択ミスに伴う返品が必要な場合には、販売店によって対応に差がありますが、多くの場合は「返品不可」もしくは「手数料が必要」となってしまいます。注文の前にきちんと調べてからミスのないようにしましょう。

 

配送途中での破損や商品の初期不良についても、販売店によって差があります。初期不良についての保証を約束されている場合でも、その期限を商品到着から1週間程度とかなり短い期間に限定されている場合が多いので、事前に詳しく調べておきましょう。また、ヤフオクなどの個人売買の場合に保証がつかないことがほとんどです。

 

耐久性について

意外に思われるかもしれませんが、タイヤには寿命が設定されています。

ぶち猫さん

ぶち猫さん
残り溝の深さよね。
きんぎょ君

きんぎょ君
それだけではありません。タイヤはゴム製品であるために、製造から時間が経過することで素材のしなやかさが失われてしまうのです。そのため製造後5年が経過したものは点検を受けるように、また10年が経過したものは交換するように推奨されています。

こちらはグッドイヤーのサイトから引用したものです。

ぶち猫さん

ぶち猫さん
溝がしっかりと残っていても、5年以上経っているのなら交換も検討する必要があるのね。

たとえば、タイヤサイドに細かなひび割れが見られる場合やタイヤの一部分が不自然に膨らんでいる場合には、早めに交換するほうが良いかもしれません。走行不能になってからの対応では、車の移動にかかる経費など無駄な出費が増えるからです。

ちなみに筆者はいままで多くのアジアンタイヤを利用してきましたが、そのほとんどを4年程度(2回目の車検時を目安に)で交換するようにしています。年間に走行する距離が比較的多いこともあるのですが、1度だけ大きなトラブルに遭遇し大変な思いをしたことがあるからです。その時のタイヤは購入後4年とちょっとしか経っていないものでした。

 

実際に遭遇したトラブル

トラブルの詳細

夏の高速道路走行ではタイヤトラブルが出やすいと言われています。気温が高いことが主な原因なのだそうだが、私に降り掛かったトラブルは深夜の比較的涼しい時間帯でした。自宅から300kmほど高速道路を走ったあたりから、ハンドルが微妙に振動するようになったのです。

「パンクが原因かもしれない。」と考え、ガソリンスタンドで空気圧を見てもらったものの「特に異常はない」と言われるのみでした。結局、高速道路上で止まっているわけにもいかず、そのまま走り続けるうちに振動は次第に大きくなっていったのでした。

さらに200kmほど走行し朝を迎えた頃には、振動のため60km/h以上のスピードが出せないほどに状態は悪化し、一旦高速道路を降りてタイヤ屋さんを探すしかありませんでした。

とりあえず、早朝から営業していたガソリンスタンドのお兄さんに見てもらったところ「タイヤのワイヤーが切れてますね」と、聞き慣れない返事が帰ってきたのです。

お兄さんが指差すタイヤは、遠目に見てもわかるくらいに外見が変形しており、よくもこのタイヤで高速道路を走っていたものだと、自分でも驚くほどでした。通常、自動車のタイヤは平らな面が地面に接するようになっていますよね。ところが、前輪の片方がバイクのタイヤのように走行面が曲面に変形していたのでした。一体なにがどうなると、このような事が起きるのでしょうか。

ところで、「タイヤのワイヤー」とは何のことが分かりますか。

ガソリンスタンドのお兄さんが説明してくれた内容によると「タイヤの内部でタイヤそのものを支えるワイヤーが切れるとこのような状態になる。」とのことで、古いタイヤや大きな衝撃を受けたタイヤによく見られる症状なのだそうです。

とにかく、タイヤを交換するしか解決策はないらしく、適合するタイヤサイズの在庫を探すために近隣のタイヤ屋・修理工場・ガソリンスタンドなど手当たり次第連絡をしてくれたのでした。

結局15kmほど離れたタイヤ屋さんに私の車に合うサイズの在庫を見つけてくれて、そのお店が、早朝にもかかわらずタイヤ交換の作業を引き受けてくれることになったのでした。

 

トラブルの原因は「ワイヤー切れ」

タイヤの「ワイヤー切れ」とは一体どのようなものなのでしょう。ダンロップのサイトにはこのような説明がありました。

タイヤはゴムだけでは形状を維持することができないため、タイヤのゴムの中には鉄や繊維素材を糸状にしたカーカスコードが入っています。カーカスコードはタイヤの形状を保つために必要な部分です。
ワイヤー切れとは、このコードがきれてしまうことを言います。「タイヤを支えられない」「空気圧に負けてタイヤが膨らむ」、最終的には「バースト」につながります。
バーストが原因で、交通事故に発展するケースも少なくありません。切れを発見したら、速やかにタイヤ交換をする必要があります。

要するに『タイヤの構造に関わる重要なトラブルであり、すでに使用不能な状態ですよ』ということなのだそうだ。

なぜこのように高速道路走行中にワイヤー切れのトラブルが起きたのでしょうか。整備や車の保管方法に問題があったとは思えません。遠距離のお出かけの際には、簡易的ですがガソリンスタンドで空気圧の補充をするなど自分なりにも気をつけるようにしています。また、タイヤを縁石などに強くぶつけた記憶もなかったのでした。

だが実際にはトラブルが発生したわけで、直接的な原因が不明だと考えると、経年変化でワイヤーが切れたということになるのでしょうか。

しかしその時のタイヤは、使用期間が4年とちょっとだったのです。先程、タイヤは5年程度使用したらきちんと専門家に点検するように推奨されていることをお伝えしましたが、それに照らしてもトラブル発生が早すぎるといった印象でした。

ただし、タイヤ交換をしてくれたタイヤ屋のお兄さんの話では「最近は、ワイヤー切れのトラブルで交換する人が増えているように思う。それも、比較的アジアンタイヤであることが多い気がする。」とのこと。

ワイヤー切れは昔からよくあるトラブルで、それが原因でタイヤを交換することは特に珍しいことでは無いとのこと。しかし、それは縁石に激しく乗り上げるなどの結果、タイヤに大きな負荷がかかった時に発生することがほとんどですよ、と言うことらしい。

ところが、最近はドライバーにはそれほど激しくタイヤをぶつけた記憶が無いのにワイヤーが切れてしまうことが多くなっているそうな。正確な統計があるわけではないのだが、タイヤ屋さんが感じるということは、アジアンタイヤのトラブルは比較的多いということなのかもしれない。

 

全てのアジアンタイヤに問題があるわけではない

トラブルに遭遇した激安アジアンタイヤは、約4年前に「最安値」を探して通販で購入したものであり、「ROTALLA F108」というものでした。

当時の注文内容がこちら。

■注文内容
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商品名 価格 x 点数
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ROTALLA F108 185/65R15 88T
2,350 円 x 4————————————————————————
配送料 4,320 円
※タイヤホイールセットの場合は工賃を表示します。
※タイヤ単品ご購入でご来店の際は別途工賃がかかります。
ポイント利用 0 ポイント
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合計金額(税込) 13,720 円

 

配送料が、タイヤ2本分近くもかかるという変な明細なのですが、それほどタイヤが安いということが伝わるでしょうか。

今ではこのメーカーの商品は見かけなくなりましたが、同じような価格で販売されているタイヤは沢山存在します。

きんぎょ君

きんぎょ君
アジアンタイヤの全てが信頼性に欠けるわけではありませんが、やはりあまりに安すぎる商品はトラブルに合う確率も高いと思ったほうがよいのかもしれません。

 

まとめ

アジアンタイヤについてまとめてきましたが、いかがでしたか。

実際に自分で使ってみて感じることは、「必要十分な性能」ということでしょうか。

街中走行中に、アジアンタイヤであることを意識することはほとんどありません。それは冬場のスタットレスタイヤについても同様です。しかし、実際にトラブルに遭遇して、その寿命の短さは痛感させられました。

こればかりは確率論であり、国産高級タイヤに全くトラブルの可能性が無いわけではないのでしょう。しかし、安いアジアンタイヤは4年程度の使用に留めるほうが良いのではないかと私は考えています。それでも十分に経済的メリットはあるのですから。

 

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