毎年やってくる自動車任意保険の更新ですが、あなたの保険料はきちんと毎年安くなっていますか?一般的には、前契約期間が無事故であれば翌年のノンフリート等級は上がります。つまり保険料の割引率がよくなるので、毎年保険料が下がるはずですよね。
ところが事故も起こしておらず、更新契約の内容も前年とほとんど同じであるのにもかかわらず、保険料が値上がりすることは珍しくありません。
そこで、この記事では「保険料が値上がりするパターン」を分析し、契約更新時の注意点について詳しく解説していこうと思います。
もくじ
ノンフリート等級の割引率について

ノンフリート等級制度のことはご存知ですか。あまり詳しくないという方は、こちらの過去記事を参考にしてください。
保険料の公平な負担を目的に、過去の保険金請求回数を元に保険料の割引率を変動させる制度が「ノンフリート等級制度」です。契約していた1年間に1度も保険金請求をしなかった方は、翌年の保険契約時には1等級上がった割引率が適用されることになるのです。
各等級ごとの割引率について見てみましょう。
等級 | 無事故 | 事故あり | |
20等級 | 63%割引 | 1ランク下との差 | 44%割引 |
19等級 | 57%割引 | 2% | 42%割引 |
18等級 | 55%割引 | 2% | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 1% | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 1% | 36%割引 |
15等級 | 51%割引 | 1% | 33%割引 |
14等級 | 50%割引 | 1% | 31%割引 |
13等級 | 49%割引 | 1% | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 2% | 27%割引 |
11等級 | 46%割引 | 2% | 25%割引 |
10等級 | 44%割引 | 2% | 23%割引 |
9等級 | 42%割引 | 2% | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 11% | 21%割引 |
7等級 | 29%割引 | 10% | 20%割引 |
6等級 | 19%割引 | ||
5等級 | 13%割引 | ||
4等級 | 2%割引 | ||
3等級 | 12%増し | ||
2等級 | 28%増し | ||
1等級 | 64%増し |
保険に新規加入した段階で、多くの方が6等級からのスタートとなります。その後数年間は毎年10%前後の割引率増加となるので、「保険料が毎年下がっていく」ことを実感しやすいのかもしれません。
しかし、保険加入後10年程度経った頃には、15等級→16等級と上がっても保険料の割引率で見れば、51%→52%とわずか1%の割引率アップにしかならないのです。
ノンフリート等級以外に保険料が安くなる要素とは

「ノンフリート等級が上がることによって、割引率が上がり保険料が下がる」以外にも、保険料が安くなる要因には以下のようなものがあります。
- 年間走行距離が短くなった。
- 車の用途や使用目的など、契約条件が変更になった。
- 主に車を運転する方(記名被保険者)の年齢が高くなった。
- 補償の範囲を限定した。(限定の範囲を狭くした)
- 車齢が上がり、車両保険の保険金額が安くなった。
- 新たな割引制度が適用されるようになった。
①年間走行距離が短くなった
今の自動車任意保険は、リスク細分型保険と言って契約者の事故に遭遇するリスク要因を細かく分析し、リスクの高い方の保険料が高くなるように考えられています。
その「リスク要因」には、「年間走行距離」という項目が含まれるのです。
保険会社によって、どの期間の1年を切り取るのかに差がありますが、イーデザイン損保の場合には「前年の年間走行距離」を元に今年の保険料を算定するようになっています。ソニー損保の場合には今年の予想年間走行距離を申告することで保険料を計算するそうです。
②車の「用途・使用目的」が変更になった
「用途」とは、「自家用」なのか「営業用」なのかの違いです。一般的には車両の使用途中で「用途」が変更されることは稀ですが、自分の車を使って運送業を始めるなど、営業用のナンバーを取得(緑ナンバー)される方もいらっしゃいます。当然「営業用」から「自家用」に変更することで保険料が安くなります。
「使用目的」とは、「業務使用」「通勤・通学」「日常・レジャー」の3区分に分かれる、車の使い方のことです。使用頻度が高いほど事故のリスクが高いことになるので、業務使用>通勤・通学>日常・レジャーの順で保険料が安くなります。
これら以外にも、主に車を運転される方(記名被保険者)の居住する住所の変更など、保険料に影響する契約条件はいろいろと存在するのです。
③記名被保険者の年齢が高くなった
主に車を運転される方(記名被保険者)の年齢によって保険料が変動することはご存知ですか。一般的に35~40歳くらいの年齢が、一番保険料が安くなると言われています。
保険料は、事故に遭遇する頻度によって変動します。若い方のほうが事故回数が多く、40歳前後の方が一番少なく、高齢者になるほど事故率が上がる傾向にあるのです。
④補償の範囲を限定した
家族で共有する車の場合、運転する可能性のある方の中で一番若い方に合わせて「年齢条件」を限定される方が多いですよね。また、運転者を夫婦だけに限定したり、本人だけにされる方もいらっしゃいます。
お子さんが進学や就職・結婚等で家を出ることになった場合には、限定範囲を見直しますよね。つまり保険料の無駄を避けるために適正な補償範囲に変更することで、保険料が安くなるのです。
⑤車齢が上がり、車両保険の保険金額が安くなった。
同じ種類の車でも、車両保険の金額が変わることをご存知ですか。
同じことが車両保険にも言えるのです。
つまり、長く乗られているお車の場合、車両保険の保険金額を安く設定することや免責金額を上げることで、年間保険料は意外なほど節約できることが多いのです。ただし、保険金額を下げると言うことは事故の際に支払われる保険金額が下がることを意味します。そのバランスが大切となりそうです。
⑥新たな割引制度が適用になった
通販型自動車保険の場合、毎年のように新しいサービスが始まり、人気のないサービスや無駄なものからサービスを終了して行きます。
近年では「セコム駆けつけサービス」を提供する会社が現れ、緊急時に自動的に通報してくれる機器類を提供してくれる保険会社も登場しています。
当然新しいサービスはそれなりに経費がかかるために、そのサービスを提供するに当たり保険料の見直しが行われているのです。
そんな中、保険料が下がる要素もあります。それはASV割引です。
社会的な背景として、自動ブレーキの急激な普及に伴い社会全体の自動車事故件数が減っているのです。ただし、事故が減った理由は自動ブレーキが作動することによるものなので、それらの装置が未装着の車との保険料に差をつけないと不公平だ、という考えが認められたのです。
ノンフリート等級以外に保険料が高くなる要素とは

いよいよ本題です。保険料が高くなる要素とは何があるのでしょうか。ここでは契約者の都合による契約条件の変更がない場合を考えてましょう。
- 主に運転される方(記名被保険者)の年齢が高くなった。
- 昨年の契約時と比較して、適用外となった「割引制度」がある。
- 契約車両の「型式別料率クラス」があがった。
- 保険会社が「保険料の改定」をおこなった。
- 消費税など税制が変更になった。
①主に運転される方(記名被保険者)の年齢が高くなった。
これは、安くなるパターンとして③で紹介した内容と同じですね。つまり40歳以上の方の場合は、歳を重ねるたびに保険料が上がる傾向にあるのですね。
②適用外となった「割引制度」がある
通販型自動車保険各社は、新規契約者数を確保するためにいろいろな割引制度を用意しています。
その結果、契約初年度には大幅な割引が適用されていることが多くなっています。これは通販型の損保会社全体に言えることです。しかし2年目以降は適用されていた割引が受けられなくなることが多く、その結果保険料が値上がりしていくことになるのです。
では、契約初年度や契約後数年間しか受けられない割引を羅列してみましょう。
インターネット割引
申し込み手続きを、ネット経由で完結させた方に対する割引です。その割引金額は損保会社によって大きく差があるのですが、新規契約時により高額の割引を受けることができる損保会社ほど、2年目以降の保険料が大幅に値上がりする傾向にあるようです。
イーデザイン損保の場合には、2年目以降の更新時手続きについても新規契約時と同額の割引が受けられるように配慮されています。つまり、この割引に関しては2年目以降に保険料が値上がりする原因にはなりません。
新車割引
イーデザイン損保では、新車登録から25ヶ月以内の保険契約の場合に、新車割引を受けることができます。割引率は発表されていませんが、新車購入と同時に自動車任意保険に加入された場合でも、1回目の更新時までしかこの割引は適用されないことになります。
ASV割引
いわゆる「自動ブレーキ」が搭載された車種に対する割引制度であり、保険開始日の属する年の3年前の4月以降に型式発売された自家用普通乗用車・自家用小型乗用車またはすべての自家用軽四輪乗用車で、対象の装置が搭載されている場合に約9%の割引が受けられるというものです。
③契約車両の「型式別料率クラス」があがった
車種ごとに過去の事故率や保険金請求額を分析し、事故率や修理費用が高くつく車種は保険料も高く設定するという制度が「型式別料率クラス制度」です。
この基準となる数値は「保険料率算出機構」が毎年データを分析したうえで発表するため、全ての保険会社で同じ基準が用いられることになります。たまたま偶然自分の車種と同じクルマを運転される全国の人々が、去年1年間により多くの事故に遭遇したとすると、「型式料率クラス」の数値が上がることになるのです。
④保険会社が「保険料の改定」をおこなった。
保険料は、損保会社が独自に設定することができるので、損保会社ごとにそれぞれの収益に応じて保険料を変更することになっています。
社会環境変化による収益の変動は、各損保会社間でそれほど大きな差が出るわけではないのですが、大きな自然災害等で局地的に保険金支払いが増えた場合などには、被災地域により多くの契約者を抱える損保会社が、他の損保よりも収益が悪化することに繋がります。
⑤消費税など税制が変更になった。
自動車保険の保険料は、消費税の対象外です。つまり消費税が8%から10%に上がったところで、年間保険料の支払いには影響がないように感じてしまいます。
しかし実際には、保険会社が支払う経費や、自動車の修理代金などに支払う保険金には消費税がかかります。つまり消費税の増税分だけ損保会社は収益が悪化することになるのです。
2019年10月には消費税増税が予定されています。その結果自動車保険も保険料の値上がりが予想されています。
まとめ

事故もないのに保険料が値上がりする大きな理由は、「去年に適用されていた割引がなくなること」が一番大きな理由です。ただしそれも契約後2~3年程度に限定された話です。
それ以降に起きる保険料の値上がりは、年齢の問題、料率クラスの問題、増税などにまつわる保険料の値上がりが原因と言えそうです。つまり契約後2~3年より先の保険料値上がりは、どの損保会社を選んたところで同じ程度発生するということになりそうです。
そのように感じた時に有効な対策は、保険会社を切り替えることです。短期的な対策に過ぎないのですが、とりあえず新規契約時に受けられる値引きが適用されるのであれば、大幅な保険料節約に繋がります。
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