自動車任意保険を申し込む時に、「補償の範囲」を設定しますよね。その際に、「同居の親族」という言葉が出てきますが、あなたはその意味を正確に理解できているでしょうか。
つまり、補償の範囲を正確に把握することは、保険契約においてとても大切な作業となるのです。
この記事では、保険用語での「同居の親族」が指す範囲や注意点、どのような手続きに関わってくるのかについて、詳しく説明していきたいと思います。
もくじ
「同居の親族」とは

夫婦の場合
- 親族 = 6親等内の血族、配偶者、および3親等内の姻族
- 血族 = 同じ祖先を持つ、血統がつながった人々
- 姻族 = 婚姻によってできた親族
一般的に民法の解釈では、「親族」とは「6親等内の血族、配偶者、および3親等内の姻族」を指します。もちろんイーデザイン損保でもその解釈は変わりません。
この場合の『血族』とは「同じ祖先から出て血統がつながった、また、法律上これと同一視する人々」を指します。
そして、『姻族』とは「婚姻によって出来た親戚」の意味になります。
『親等』とは、「親族関係の遠近を表す単位」のことです。
つまり、考えられるほぼ全ての親戚が「親族」といえるほど、その範囲は広いということが分かります。
世間では親類と認識されますが、姻族=「血族の配偶者」又は「配偶者の血族」までなので、「配偶者の姻族」との続柄は「他人」となってしまいます。
血族の範囲が広大であるだけに、非常に勘違いしやすいポイントです。もしも奥様の兄弟姉妹夫婦と同居されているのであれば、保険契約を奥様の名義にかえれば、「契約者(奥様)」の「兄弟(血族)の配偶者」ということになるので「親族」あつかいになります。
内縁の場合
- 内縁関係は「婚姻関係に準ずる関係」、でも証明が必要
- 証明書がない場合の判断は担当者によって変わる
じつは、この部分について非常に曖昧になっているというのが現状です。一応、イーデザイン損保の「自動車保険のしおり・約款」で確認したところ、「用語の定義」の欄に『④配偶者:法律上の配偶者の他に内縁を含みます。』と、記述があります。つまり、内縁関係を証明できれば「内縁の妻=配偶者」とみなすのでしょうが、その証明方法についての記述はありません。

となると、役所などで確認されるときの基準を満たせばよいのでしょう。
- 住民票 (「配偶者(届出なし)」や「未届の妻」等の表記が確認できるもの )
- 健康保険証 (被扶養者の確認)
- パートナー関係に関する自認書兼同意書 (同性の場合)
- 住結婚式を挙げていれば、その証明や明細書など
- 同居の確認できる公共料金の領収書や同住所宛の郵送物の送り状の控え
などで確認はできるでしょう。しかし、どれを提出すれば内縁関係の証明となるかは、保険会社によって基準が違うようです。すなわち毎回確認する必要がありそうです。
ただ、多くの場合にそれほど厳しく判断されることはないでしょうが、明確な基準がないということは、同じ保険会社でも担当者によって判断に差があるということに繋がります。前回はクリアしたけど、今回は拒否された、とうような事は良く起こるそうです。
一応「内縁関係=配偶者」とは書かれていますが、実際には内縁関係にある方は正式に結婚できない事情があることも多いはずです。証明書の提出に難がある方も多いのではないでしょうか。実際の事故の際に、補償を受けられないとなると死活問題です。証明証の提出が怪しい方は、「運転者の限定」は避けたほうが無難です。まして、同居していない場合にはまず拒否されると考えたほうがよいと思います。
独身の場合
独身の場合には姻族が存在しないのですから、上の図で青で示された範囲が「親族」となります。わかりやすいですね。
ただし保険金の受け取りに、問題が発生することがあります。
通常、保険金の受け取り人として指定できるのは「戸籍上の配偶者及び2親等以内の血族」とされています。(死亡保険金の場合)
お若い方で独身の方には無縁な話ですが、高齢の方で独身の方はこのポイントに悩まれる事がありますのでご注意ください。多くの場合に、個別に保険会社と相談すれば事情を考慮してもらえることが多いようです。
「同居」の正確な意味
- 同居 = 同一家屋に居住している状態
- 単身赴任は別居
- 2世帯住宅の判断は保険会社によって基準が違う
多くの保険会社では、「同居=同一家屋に居住している状態」を指します。その際、住民票記載の有無や、扶養関係の有無、生計が異なっていても、同一家屋に居住していれば問題なく「同居」と認定されるようです。逆に、大学生の一人暮らしや単身赴任中の旦那さんは同居とはみなされません。
特に判断が微妙なのが二世帯住宅です。
イーデザイン損保の場合には、「キッチンなどの生活設備を共用しているかどうか」が同居の判断基準になります。つまり、キッチンがそれぞれに存在する2世帯住宅は同居とはみなされません。しかし、同一敷地内に建つキッチンのない「はなれ」や「勉強部屋」は同居になるとのことです。
ソニー損保の場合は、2世帯住宅内部が完全に仕切られているかどうか、が判断基準になります。建物内部でお互いに行き来できる場合には同居とみなされます。逆に建物外に出ないと行き来ができない場合には別居とみなされます。
おとなの自動車保険では、「台所の共有」もしくは「内部で行き来できる構造」のどちらかがあれば同居とみなされます。
「同居の親族」≠「家族限定」

- 別居の子供は結婚の有無で「家族限定」に含むかの判断が変わる
- 未婚の別居の子供は家族とみなされる
- 未婚の別居の子供には年齢条件は適用されない
自動車保険の契約時に『補償の範囲を限定』する時には、「本人限定」「夫婦限定」「家族限定」「限定なし」の4つから選択することが多いですよね。
この「家族限定」と今までお話してきた「同居の親族」は、全く別物なので注意が必要です。

運転者家族限定特約の内容は以下のとおりです。この中の③が今までお話してきた「同居の親族」を指す記述です。
ココは大きなポイントです。「未婚」の場合には別居していても家族として認められるのです。具体的には、大学生の一人暮らしのような場合が該当しますね。しかも、別居の家族の場合には、運転者年齢条件も適用されないのです。
ちなみに「未婚 = 結婚歴がない」という意味です。離婚歴のある方は独身であったとしても「未婚」として扱われません。
「同居の家族」が関わる手続き

ノンフリート等級の引き継ぎ
自動車任意保険のノンフリート等級は、同居の親族に引き継ぐことができます。
もし、お車を手放す予定や免許証を返納されるご家族がいる場合には、ぜひ等級の引き継ぎを検討されるとよいでしょう。
その場合、数年後にご自身が再びお車を所有する際にも等級の引き継ぎが可能ですが、同居の親族に譲ることも可能なのです。ポイントは同居が条件であること。
運転者限定特約のように、未婚の別居の子供には譲ることができません。
セカンドカー割引
自動車保険にご家族が新規加入する際に、同居の親族の中にすでに自動車保険に加入されている方がいる場合には、「セカンドカー割引」が受けられます。
その際の適用範囲が「同居の親族」となっているのです。
同居ではなくなる場合の注意点

等級引き継ぎ・セカンドカー割引
- 車両の入れ替え時点に同居であれば適用される
- 契約後に別居となっても問題ない
ノンフリート等級の引き継ぎやセカンドカー割引の適用範囲は、「同居の親族」とお伝えしましたが、その条件はどの時点での話となるのでしょうか。
セカンドカー割引にも同じことが言えます。つまり等級を引き継いだあとは、ご両親の車が無保険状態になってしまいます。等級の引き継ぎと同時に保険の新規契約をすれば、その時点で同居中のお子さんが自動車保険に入っていることになるので、セカンドカー割引が適用されることになります。
運転者限定特約
- 未婚のお子さんが進学のために別居 = 家族限定の補償対象
- お子さんが結婚を機に別居 = 家族限定の対象外
- お子さんが結婚を機に同居 = 配偶者も含め家族限定の対象
同居のお子さんが進学や就職で別居される時には、「家族限定」の補償対象になります。しかも、別居になるので年齢条件の適用範囲外になります。つまり残った同居の家族の中で一番若い方に合わせて年齢条件を変更することができるのです。
同居のお子さんが結婚を機に別居される様になるのであれば、「家族限定」の補償対象にはなりません。契約条件を見直しましょう。
同居のお子さんが結婚を機に夫婦で同居されるのであれば、お子さんの配偶者も含めて「家族限定」の補償対象になります。ただし、同居の親族の場合は全員に年齢条件が適用されるために、その見直しが必要になることがあります。同居の親族の中でお車の運転をされる一番若い方に合わせて年齢条件を設定しましょう。
まとめ

「同居の親族」について詳しく解説してきましたが、うまく伝わったでしょうか。この部分が非常に解りにくく、無駄に補償範囲を広げてしまっている方が多いのです。
通販型の自動車保険を検討される方は、補償の範囲や年齢条件について、じっくりと見直すことが大切です。保険料のムダももったいないですが、いざという時に補償の対象外となることがないよう、十分に注意しましょう。
保険の見積もりを、多くの保険会社に個別に依頼することは大変です。今回のお話のような補償範囲の設定など、面倒な条件設定を保険会社ごとに何度も行わなければなりません。
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