通販型自動車保険の特徴といえば、「インターネット割引最大1万円」でしょう。テレビCMなどでも頻繁にこのフレーズを聞くために、今では多くの方がご存知かと思います。
さて、この「ネット割引1万円」とはいったいどんなものなのか正確に知っていますか。いったい何が割り引かれるのか、どれだけ引かれるのか、各社の違いはあるのでしょうか。
実は、通販型には当然のように用意されていると思われている「ネット割引1万円」は、損保各社で大きな違いがあるのです。割引金額が大きために、正確に把握しておかないと「こんなはずじゃなかった…」となってしまいます。
というわけで、今回は「インターネット割引」について詳しく解説していこうと思います。
ただしこのような割引サービスは、毎年のように内容が変更されていきます。この記事は2019年2月末時点での内容ですのでご注意ください。
もくじ
「ネット割引」とは

通販型損害保険では、保険販売に係る事務手続きの経費を可能な限り削減することで、代理店型よりも安い販売価格を実現しています。
確かに保険用語は難しく感じる部分が多いので、手続きを不安だと思う方が多くても仕方がありません。
自社ホームページ上で、非常にわかりやすい解説をいつでも見られるようにしています。その内容は年々進化しており、できるだけ専用用語を使わずにたいへん理解しやすく工夫されています。
それでも疑問や不安がある方には、電話相談窓口も用意しています。もちろん最終申込みを電話で行うことも可能です。
そこで、ネット経由での申し込みを促す手段が必要になったのです。つまり、
「自分で手続を完結させた人にだけ、特別な割引を用意しているよ。」
とアピールすることで、自分で保険内容の説明を読み、考えて、申し込んだ方にだけ「その努力に見合うだけの割引」を用意することにしたのです。
さて、「その努力に見合う割引」とはどの程度の金額になるのでしょう。
結論から申し上げると、各社の判断はまちまちです。最大2万円の割引を用意する損保会社もあれば、1割引きとしている所もあります。
僅かな金額の割引では、自分の手間や不安と比較して通販型を選択してくれない可能性があります。かといって、割引金額を大きくすると収益の悪化に繋がります。
さあ、実際のインターネット割引はいくらになるのでしょう。
「ネット割引」は新規契約時と契約更新時に適応される

自動車保険の契約は、毎年のように契約の更新がやってきます。それは、保険の契約期間が1年間であるためです。(代理店型には複数年契約があります。)
つまり、損保会社にとっては毎年のように事務処理が発生するわけで、その契約更新の手続きも契約者自らが、自力で完了してくれると非常にありがたいですよね。
とはいえ、更新契約は比較的手続き内容も少なく簡単なので、大きな負担だと考える契約者はそれほど多くはありません。しかも、回数を重ねるたびに契約者もその手続に慣れていきます。でも面倒なことにかわりないですよね。
そこで、損保会社としては「面倒な手続きを自分でしてくれることには感謝するよ。もちろん割引という形でお礼もするよ。」
「でも、新規契約時ほどのご褒美はいらないよね。」と考えているのです。
つまり、多くの損保会社で「更新時のネット割引は、新規契約時より少なくなる」ことが一般的なのです。
「ネット割引」の落とし穴

見積もり結果は、すでに割引適応後の金額が提示されている
通販型自動車保険を選択するメリットは、各社の見積もりが手軽に無料でいくらでも試すことができる点です。時間と手間を惜しまないのなら、すべての通販型自動車保険を扱う損保に見積もり依頼をすることも可能です。
損保各社の見積もり結果には、さまざまな割引が適用された後の金額が提示されています。つまり「見積もり結果から更にネット割引が適用される」なんて事にはならないのです。
ということは、最終的な見積もり金額が大切なのであって、その中に「ネット割引」がどれほど適用となったかなど、あまり意味がないと言えるのです。
各社いろいろな割引サービスを用意しているために、どの割引サービスがどの程度ずつ適用されているのかは、見積書を詳しく確認しないとわかりません。
ということはテレビCMでよく聞く金額は、あくまでも興味を引くために必要なものであり、実際にどれほどの金額が適用されているかは問題ではないと言えそうです。
更新時のネット割引が少ないと、2年目に実質の値上げとなる
新規契約時に損保会社が用意した「ネット割引」は、あくまでも「不安だけど、安くなるなら自分でやってみようか。」と、契約者に思わせるためのご褒美です。
しかしその割引金額が大きいほど、ご褒美割引が無くなる翌年の保険料を「高い」と感じてしまわないだろうか。
新規契約時に大幅な割引を受けた方ほど、更新時の割引金額が少ない場合に「保険料が値上がりした」という印象を受けることになります。これが「通販型が安いのは、初年度だけだよ。2年目には値上がりするのだよ」と言われる原因になっているのです。
そのために、更新時の手続きにも「ネット割引」を用意する損保会社が多くなっています。しかし、その割引内容は各社バラバラであり「新規契約時の割引が多いよ」とアピールする損保会社ほど、更新時の割引金額が少ない傾向にあるようです。
各社の割引額やサービス内容を比較
ここで、通販型損保各社の「ネット割引」内容を一覧で示してみます。
保険会社名 | 新規インターネット割引 | 更新時インターネット割引 |
ソニー損保 | 一律10,000円 | 1回目一律5,000円 2回目以降一律2,000円 |
チューリッヒ | 最大12,000円(2019/2/22以降) | 1回目最大5,000円 2回目以降一律1,500円 |
アクサダイレクト | 最大20,000円 | 一律1,000円 |
三井ダイレクト | 最大10,000円 | 一律3,000円 |
おとなの自動車保険 | 一律10,000円 | |
イーデザイン損保 | 一律10,000円 | |
S B I 損保 | 一律10,000円 | |
そんぽ24 | 10%割引 | 7%割引 |
保険料が安い方なら年間で30,000円以下、高い方なら200,000円を超える場合もあります。ともに1万円割引だったとすると、保険料が高い方なら5%程度の割引ですが、安い方には33%もの大幅割引になってしまいます。
ではここで、「最大」とうたう損保会社の実際の割引適用条件を見てみましょう。
チューリッヒの場合
年間保険料 | 割引額 |
45,000円以上 | 12,000円割引 |
30,000円以上、45,000円未満 | 8,000円割引 |
30,000円未満 | 3,000円割引 |
アクサダイレクトの場合
年間保険料 | 割引額 |
130,000円以上 | 20,000円割引 |
120,000円以上、130,000円未満 | 19,000円割引 |
110,000円以上、120,000円未満 | 18,000円割引 |
100,000円以上、110,000円未満 | 17,000円割引 |
90,000円以上、100,000円未満 | 16,000円割引 |
80,000円以上、90,000円未満 | 15,000円割引 |
70,000円以上、80,000円未満 | 14,000円割引 |
60,000円以上、70,000円未満 | 13,000円割引 |
55,000円以上、60,000円未満 | 12,000円割引 |
50,000円以上、55,000円未満 | 11,000円割引 |
45,000円以上、50,000円未満 | 10,000円割引 |
40,000円以上、45,000円未満 | 9,000円割引 |
35,000円以上、40,000円未満 | 8,000円割引 |
30,000円以上、35,000円未満 | 7,000円割引 |
25,000円以上、30,000円未満 | 6,000円割引 |
20,000円以上、25,000円未満 | 4,000円割引 |
20,000円未満 | 2,000円割引 |
三井ダイレクトの場合
年間保険料 | 割引額 |
80,000円以上 | 10,000円割引 |
60,000円以上、80,000円未満 | 8,000円割引 |
40,000円以上、60,000円未満 | 6,000円割引 |
40,000円未満 | 4,000円割引 |
2年目以降の値上がりについて
新規ネット割引の適用金額に、これほど大きな差があることに驚いたでしょうが、もっと大切なポイントがあります。
新規契約時と更新契約時の割引金額差です。この差が大きいほど、2年目以降の更新時に値上がりする保険料の金額が大きことを意味します。
保険会社名 | 新規/更新時割引金額 | 割引の差額 | 継続割引 |
ソニー損保 | 一律10,000円/一律5,000円 | 1年目一律5,000円 2年目以降一律8,000円 |
○ 1~2% |
チューリッヒ | 最大12,000円/最大5,000円 | 1年目約7,000円 2年目以降約10,000円 |
|
アクサダイレクト | 最大20,000円/一律1,000円 | 最大19,000円 | |
三井ダイレクト | 最大10,000円/一律3,000円 | 最大7,000円 | ○ 1~2% |
おとなの自動車保険 | 一律10,000円/一律10,000円 | 0円 | |
イーデザイン損保 | 一律10,000円/一律10,000円 | 0円 | ◎ 1~3% |
S B I 損保 | 一律10,000円/一律10,000円 | 0円 | |
そんぽ24 | 10%割引/7%割引 | 最大3% | ◎ 3% |
「アクサダイレクト」と「チューリッヒ」は、ネット割引の最大金額を前面に押し出した広告戦略をとっているのですが、上記のように2年目以降の金額が高くなる傾向があるので注意が必要だと言えます。
それに対して、「おとなの自動車保険」「イーデザイン損保」「SBI損保」「そんぽ24」は、新規と継続でネット割引の金額に差がありません。(そんぽ24は、継続割引3%を加味した割引金額)つまり、2年目以降に大幅な値上げがないと言うことになのです。これって大きいですよね。
「ネット割引1万円」の注意点

損保会社によってはネット割引金額が「最大~」と「一律~」に設定されていることは、契約者にとってどのような影響があるのでしょうか。
保険料の算出には、いろいろな条件が加味されるので、平均的な金額というものを割り出すことが難しいという事情があります。
しかし一般的には、若い方や運転歴が短い方は高くて、30代40代でノンフリート等級が高い方が安くなっています。
40代で等級が高い方の場合には、年間保険料が20,000円/年という方もいらっしゃいます。

それに対して、20代で初めて保険に加入される場合の保険料は200,000円超えも特別なことではありません。
ただし、自動車保険の割引は「ネット割引」が全てではありません。最終的な判断は見積もり結果を見て行うようにしましょう。
まとめ
通販型自動車保険の「インターネット割引、1万円」について、詳しく解説してきましたが、いががでしたか。
実際に見積もり金額を見ていても、この部分については小さく表記されているので、よくわからないと思います。ましてや、翌年の保険料に大きく影響することなどあまり知られていないですよね。ぜひ、通販型自動車保険を検討されるときの参考にしてください。