自動車保険の年間保険料は、契約者の条件によって金額が大きく変わります。条件によっては3倍にも4倍にもなることがあるのです。
その仕組に大きく関わるのが「ノンフリート等級」ですが、少し複雑な仕組みであるために、多くの方がよく分からないままにしているようです。
この記事では、『ノンフリート等級制度』について、できるだけわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
もくじ
ノンフリート割引制度
1-1 20ランクの等級に分類
一度でも事故で保険金の請求をした人と、全く保険を使わない人が、毎年同じ保険料では不公平ですよね。
そうならないためにも、事故で保険金の請求をした人には「保険料を高くする」というペナルティーが必要になるのです。
それをわかりやすく示したのが、「ノンフリート等級」なのです。
全体を20等級に分類し、保険契約のはじめは6等級からスタートします。もちろん、等級が高い人ほど保険料の割引率が高くなるので、20等級の人が一番多くの割引を受けていることになります。
割引率の一例を見てみましょう。
等級 | 無事故 | 事故あり |
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
19等級 | 57%割引 | 42%割引 |
18等級 | 55%割引 | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
15等級 | 51%割引 | 33%割引 |
14等級 | 50%割引 | 31%割引 |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
11等級 | 46%割引 | 25%割引 |
10等級 | 44%割引 | 23%割引 |
9等級 | 42%割引 | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
7等級 | 29%割引 | 20%割引 |
6等級 | 19%割引 | |
5等級 | 13%割引 | |
4等級 | 2%割引 | |
3等級 | 12%増し | |
2等級 | 28%増し | |
1等級 | 64%増し |
これはある通販型自動車保険を扱う保険会社の実際の割引率一覧です。
1-2 事故がなければ毎年1ランク上がる
毎年、1年間事故に合わずに保険金の請求をしなかった時には、翌年から1等級上昇するというルールになっています。
等級は、1年毎に1等級ずつ上がる仕組みであるために、20歳で自動車保険に加入したとすると、20等級に最速で到達できるのは34歳ということになります。
1-3 事故1回につき3ランク下がる
等級が下がる条件は、「保険金請求をすること」です。通常、1回保険金請求をするたびに3等級下がることになります。
等級を下げる条件は、あくまでも保険請求回数で判断されます。その請求金額の大小は考慮されません。すなわち、物損事故で修理代金10万円を1回請求した人と、人身事故で1億円の請求をした人と、ダウンする等級は同じということになります。ただし、保険の更新ができるかどうかはわかりませんけどね。
ノーカウント事故とは
2-1 等級が下がらない事故とは
前項で、保険金の請求をすれば等級が下がることをお伝えしました。
しかし、すべての保険金請求が等級を下げるとは限りません。請求内容によっては下がらない場合もあるのです。
たとえば、事故の原因が100%相手にある場合、すなわち完全な「貰い事故」であるときなどには、「ノーカウント事故」と扱われることがあります。
具体的に見てみましょう。

自動車保険のリスクはあくまでも自動車の運転時のリスクで判断されるからです。原付きやバイクを運転中の事故は、「自動車ではない乗り物を運転中の事故」と判断され、自動車保険の等級には影響しないことになっているのです。
2-2 他にもある
「ノーカウント事故」以外にも、「1等級ダウン事故」というものが存在します。
比較的事故の責任が低いと判断できる種類の保険金請求時に適用され、1等級だけ下がることになるのです。
たとえば、盗難に対する被害や、いたずら・落書きの被害の場合。それに、台風や洪水が原因となる被害の場合などに適用されます。
事故有係数とは
3-1 1回の事故で、3年間は「事故あり」になる
これは、事故を起こして自動車保険を使った方には「事故あり」の、より割引率の低い数値を適用し、より多くの保険料を負担してもらうように導入された制度です。
3等級ダウン事故で保険金請求を行うと、次の更新から3年間は「事故有係数」が適用され、適用期間が最長6年間を限度に加算されていくのです。この事故あり係数も、1年間無事故であれば毎年1つずつ下がっていき、最短3年で「無事故」の割引率が適用されるようになります。もちろん1等級ダウン事故の場合には1年間となります。
3-2 複数回事故を起こすとどうなる
事故有係数は最長6年を限度に加算されます。すなわち、短期間に複数回の保険金請求をすると、長期にわたって割引率の低い保険料が適用されることになります。


注意点
「ノンフリート等級」や「事故有係数」は、保険を解約してもその後13ヶ月間にわたり保存されます。そのため、別の保険会社に変えて再契約しようとしても、6等級未満の等級や事故有係数はそのまま引き継がれることになります。
それは、短期間で等級をリセットする方法があるなら、この制度そのものの意味がなくなってしまうためです。
とはいえ、13ヶ月ということはおよそ1年程度運転をやめれば、また新たに6等級からスタートできるということです。この1年間を長いと感じるか短いと感じるか、あなたはどうでしょうか。
まとめ
ノンフリート等級制度と事故有係数について説明してきましたが、いかがでしたか。
事故の際の大きな出費を契約者全員で支える、というのが保険の本来の役割です。もし自分が事故を経験した時に皆に支えてもらうためには、今は事故を経験された方を支える時なのです。
しかしより公平な保険料負担と考えれば、事故を起こした人と、そうでない人では保険料に差をつけるべきですよね。そのための制度が「ノンフリート等級制度」なのです。
事故を経験し保険に助けてもらうと、その後長期に渡り保険料が割高になってしまいます。できるだけそのようなことがないよう、十分に注意して運転するようにしましょう。