通販型の自動車保険に切り替えを検討される時、今まで自分が加入していた代理店型の保険と、いったいどこが違うのか気になることでしょう。
代理店型の自動車保険には、通販型と違って手厚いサービスが用意されています。単に窓口がパソコンなのか、保険担当者なのかだけではないようです。
今回は、代理店型保険についてそのまとめや、通販型との違いを比較していきたいと思います。
保険のはじま
もくじ
自動車保険の始まり
日本で自動車保険が誕生したのは、およそ今から100年前。それは大正3年のことでした。
今の東京海上日動火災の前身で、東京海上保険という日本で最初の保険会社が売り出したのがはじまりです。
しかし、大正時代の日本といえば、まだ トヨタ (1937年昭和12年設立) や 日産(1933年 昭和8年設立) など、現在の大手自動車会社がまだ発足する前の時代。
そのため当時の保険は『高価な財産を保証する』ことが目的で、今のようにヒトやモノの損害を賠償するのとはずいぶん性格が違っていました。
戦後自動車の普及に伴い、交通事故やそれに伴う死者・負傷者が急激に増え、その被害者や遺族の救済が大きな社会問題となってきたのが1950年代です。
それを受け1955年(昭和30年)に『自動車損害賠償保障法』が制定されました。これにより保険は財産を守ることより、事故の被害者を救済することを目的に、と変化していきました。
先出の法律により、自動車には「自賠責保険」への加入が強制されましたが、制定当時の死亡保険金はたった30万円でした。
その後物価水準に合わせて見直され、現在では死亡保険3,000万円となりましたが、まだまだそれだけでは賄いきれないのが現状です。
そのために、もしもの時の補償額を補えるよう、任意保険が一般に普及するようになったのです。
代理店型の自動車保険の今
日本の損害保険会社は大手3グループ、でほぼ占められており、実は通販型自動車保険を販売する各社も、ソニー損保や外資系を除くほとんどが大手3グループに含まれています。
以下に大手損害保険会社をまとめてみます。正味収入保険料 (自動車保険料以外含む 2018年度実績)
保険会社名 | グループ | 正味収入保険料 (自動車保険以外の保険料含む 2017年度実績) | その他 |
損保ジャパン日本興亜 | SOMPOホールディングス | 2兆1,680億円 | |
東京海上日動火災 | 東京海上ホールディングス | 2兆1,447億円 | |
三井住友海上
あいおいニッセイ同和損保 |
MS&ADホールディングス | 三井住友1兆4,943億円
あいおい1兆2,220億円 |
MS&ADホールディングス下に並存する形で、2社で1つの商品を販売するなど、合併に近い機能別再編という形態を取っている。 |
AIG(旧富士火災) | 1,067億円 | 2018年に旧富士火災と旧AIU損保が合併し誕生 今はアメリカンホームもAIG HDに含まれる | |
共栄火災 | 1,638億円 | ||
日新火災海上 | 東京海上ホールディングス | 1,418億円 |
代理店型自動車保険のメリット

3-1 手厚いサービス
代理店型の自動車保険は、圧倒的にきめ細かいサービスが特徴です。単に事故時の対応だけでなく、事故を未然に防ぐためのツールやサービスなどが盛りだくさんです。
例えば東京海上日動では、ドライブエージェントパーソナルといったサービスを行なっています。これは「事故発生の通知等に関する特約」をつけた場合に限られるサービスですが、通販型にはない画期的なモノです。
簡単に説明すると、まずオリジナルのドライブレコーダーを車に取り付けます。
もしもの際、ドライブレコーダーが強い衝撃を検知すると、自動的に事故受付センターに連絡を行い、ドライバーはドライブレコーダーを通じて通話することができるというものです。
さらに、事故の時以外でもその時の天候や時間帯・過去の運転状況に応じて危険地点を予測し、リアルタイムに注意喚起を行なってくれます。
そして走行レーンを逸脱しそうであれば、警告音とメッセージで知らせてくれたりと、盛りだくさん。
こんなサービスが月額650円の特約保険料でつけることができるのです。
3-2 複数の自動車保険をラインナップ
1つの保険会社で複数の自動車保険を販売していることも珍しくありません。
通常は車両に保険をかけるのが一般的ですが、ドライバーにかける保険や、初めて車を持つ人専用の保険など、各社様々な商品を用意しています。
特約をつけるだけでなく、不要な自動付帯の特約を外す目的のものがあるなど、全体を理解するのはなかなか難しいと思います。
このように、通販型の自動車保険との差別化が図られており、きちんと保険料に応じたサービスが用意されているのが代理店型の良いところでしょう。
3-3 保険料の支払い方法も多彩
通販型の保険料支払い方法は、ほとんどが「カード決済 」もしくは「コンビニ支払い」 です。それに対して、代理店型の保険はいろいろな支払い方法に対応しています。
- 金融機関での口座振替
- クレジットカード
- コンビニ・郵便局での払い込み
- 銀行振込(請求書発行)
- 代理店によっては集金
それだけでなく、年間保険料を「一括」で支払うか「月払い」にするかも選べます。
3-4 複数年契約
通販型自動車保険で複数年契約を行なっているところはありません。それに対して、代理店型では3年から7年まで、いろいろな複数年契約が用意されています。
複数年契約には、メリットとデメリットがありますが、その内容については割愛させていただきます。
代理店型のデメリット
4-1 少しお高め
通販型に比べ、様々なサービスが用意されている反面、やはり保険料が割高になる傾向にあります。
ただし、そもそものサービス内容が通販型と比べて大きく違い、単純に比較できるものではありません。ただし、保険の目的をもしもの時の備えと割り切る考えの人に対しては、割高に感じることでしょう。
4-2 代理店選びは重要
また、基本的に保険契約者自らが細かな補償内容を選んで購入する通販型は、ホームページ上にも比較的一般消費者に分かりやすく説明されていますが、代理店型は全く違います。
代理店での販売を基本にしている代理店型は、もともと一般の方に保険商品の全容を説明する気などありません。(というか、複雑すぎてムリ)ホームページやパンフレットでも、代表的なサービスのその一番美味しいところだけを載せています。
基本的に、保険の内容は契約者が自分で選ぶのではなく、契約者の希望に合わせてセールスマンがそれにあったものを提案するスタイルです。
そのため、代理店の担当者には高い説明能力と自社の保険商品に対する知識がもとめられます。
その能力は非常に重要になるため、各保険会社はその育成や認定制度に非常に力を入れています。
4-3 セールスマンにはノルマがある
なんでも説明してくれる代理店の担当者ですが、いいことばかりでは無いようです。
セールスマンの一番大切な仕事は、売り上げをあげることです。そのために契約者を丁寧に大切に扱ってくれますが、その目的はやはり売り上げをあげることです。
彼らは契約者に必要な保険より、自分が売りたい保険をオススメする傾向にあります。決して契約者に損をさせる内容ではないのですが、保険料の節約は後回しになりがちですね。
まとめ
保険の歴史や種類、代理店型の自動車保険のメリットについてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。
代理店型の保険会社は、現在は3グループ4つのメガ損保に集約されたために、あまり選択肢が多くありません。また、代理店の担当者次第で受けられるサービスの品質にも影響がありそうなため、当たり外れが大きいとも言えます。
しかし、いざという時の事故相手への補償だけでなく、自分に対する補償やサービス、また、事故の時以外のサービスも充実しているため、満足度は高そうですね。ですが、全てはお金次第。良いサービスはやはり値が張ります。